愛しのマイガール
「そうなんだ……けど、まぁ、仕方ないんじゃない?正直、ちょっと扱いづらいよ」
「だよねえ……ネットの件、あれはやっぱり響いてるよね。表向きは何もないってことになってるけど、あれが彼女のことだってみんな知ってるし。あの写真も拡散されたままだしさ」
「名前が出てないからって、あれ、どう見ても……ねぇ?」
「広報案件抱えてる立場であれはちょっとね。火種が残ってるうちは、やっぱりリスク高すぎる」
あくまで冷静な口ぶり。でも、そこにあったのは同情でも共感でもなかった。ただ“リスクを避けたい”という打算的な感情だけ。
「彼女、悪い人じゃないとは思うんだけどさ……今は距離置いといたほうが、無難でしょ。実際、今ちょっと足手纏い感あるし」
無意識のまま、私はタブレットを閉じていた。
心臓の鼓動が、やけに耳に響く。
「……」
聞こえなかったふりをして通り過ぎるには、言葉があまりに鮮明すぎた。でも、その場に留まる理由も見つからなくて、私は静かに踵を返した。
エレベーターのボタンを押しながら、唇をきゅっと結ぶ。
手に持ったタブレットは、たった数分前より、ずっと重く感じられた。