愛しのマイガール
⸻
朝の光に、そっと目を覚ました。
柔らかなカーテン越しの陽ざしが、部屋をやさしく包んでいる。
——あれ?
私はぼんやりと目をこすり、隣に手を伸ばす。けれど、そこにはもう誰もいなかった。
代わりに目に入ったのは、立ち鏡の前に立つ彼の姿だった。
「……ハルちゃん……」
まだ少し眠気の残る声で名前を呼ぶと、ハルちゃんが振り返った。
すでにスーツに袖を通していた。朝の光に映える深いネイビーのスーツが、彼の静かな強さを際立たせている。
シャツの襟元に指をかけてネクタイを結ぶ姿が美し過ぎて、私は見惚れてしまった。
昨夜、私の涙も、不安も、すべてを受け止めてくれたその手が。今は毅然と、誰かを守る覚悟を帯びて動いている。
「目が覚めたか。……寝顔、かわいかったよ」
「!」
いつものように優しく微笑んで、ベッドに近づいてくる。私は慌ててシーツを引き寄せたけれど、彼は構わず腰をかがめ、そっと唇を落とした。
昨夜よりもずっとやわらかく、でも確かな熱が伝わる。
「……行ってくるよ」
「え…どこに……?」
「法律事務所。動くなら今日しかないから」
「え、そんな、待って!それなら私も……」
「るりはここで待っていてくれ。九条にここまで好き勝手させたのは、俺の責任だ。……必ず俺が決着をつける」
語気を強めた声の奥に、決意のようなものが感じられて気圧されてしまい、私は小さくうなずいた。
「……分かった…でも、気をつけてね」
「うん。すぐ戻るよ」
彼は小さく笑ってから、軽く私の頬を撫でた。
その感触が消えるのと、ドアが閉まる音が重なった。
そして部屋には、静寂が戻った。
まるで夢のような一夜のあとに訪れた、現実の朝。
まだ彼の余韻が部屋中に残っているのに、私はどこか心もとない空気を感じていた。
朝の光に、そっと目を覚ました。
柔らかなカーテン越しの陽ざしが、部屋をやさしく包んでいる。
——あれ?
私はぼんやりと目をこすり、隣に手を伸ばす。けれど、そこにはもう誰もいなかった。
代わりに目に入ったのは、立ち鏡の前に立つ彼の姿だった。
「……ハルちゃん……」
まだ少し眠気の残る声で名前を呼ぶと、ハルちゃんが振り返った。
すでにスーツに袖を通していた。朝の光に映える深いネイビーのスーツが、彼の静かな強さを際立たせている。
シャツの襟元に指をかけてネクタイを結ぶ姿が美し過ぎて、私は見惚れてしまった。
昨夜、私の涙も、不安も、すべてを受け止めてくれたその手が。今は毅然と、誰かを守る覚悟を帯びて動いている。
「目が覚めたか。……寝顔、かわいかったよ」
「!」
いつものように優しく微笑んで、ベッドに近づいてくる。私は慌ててシーツを引き寄せたけれど、彼は構わず腰をかがめ、そっと唇を落とした。
昨夜よりもずっとやわらかく、でも確かな熱が伝わる。
「……行ってくるよ」
「え…どこに……?」
「法律事務所。動くなら今日しかないから」
「え、そんな、待って!それなら私も……」
「るりはここで待っていてくれ。九条にここまで好き勝手させたのは、俺の責任だ。……必ず俺が決着をつける」
語気を強めた声の奥に、決意のようなものが感じられて気圧されてしまい、私は小さくうなずいた。
「……分かった…でも、気をつけてね」
「うん。すぐ戻るよ」
彼は小さく笑ってから、軽く私の頬を撫でた。
その感触が消えるのと、ドアが閉まる音が重なった。
そして部屋には、静寂が戻った。
まるで夢のような一夜のあとに訪れた、現実の朝。
まだ彼の余韻が部屋中に残っているのに、私はどこか心もとない空気を感じていた。