愛しのマイガール
朝食を済ませたあと、私は書斎の窓辺に腰を下ろし、白いカップに手を添えた。中に注がれたジャスミンティーから、ふわりと柔らかな香りが立ちのぼる。
邸内は静かで、庭の向こうでは初夏の風が揺らした葉擦れの音だけがかすかに響いていた。昨夜のことがまるで夢だったかのように、穏やかな時間が流れている。
けれど、夢じゃない。
肌に残る、彼の体温の記憶。目覚めのキス。去り際に見せたあの眼差し。
そのすべてが、まだ私の中に熱を帯びて残っていた。
私はクッションを抱き寄せ、ゆっくりと体を丸める。スカートの裾をすべらせる指先も、どこか浮ついているような気がした。
「ハルちゃん……」
好きだと言った。
愛してると言ってくれた。
それがどれほど心強くて、嬉しくて……言葉にしようとしても胸がいっぱいになってしまう。
きっと今日は、彼にとって大事な一日になる。
だから私も、何があってもきちんと受け止められるよう、気持ちを強くして待っていないと。
——そう思っていた、その時だった。
「瑠璃様、よろしいでしょうか」
廊下の向こうから聞こえた石神さんの声に、私は首を傾げた。