愛しのマイガール
❁。✩
九条家の応接室は、息が詰まるほど静かだった。
高級なアンティークの家具と、手入れの行き届いた絨毯。
壁に並んだ一流画家の絵画たちも、この張り詰めた空気に押し黙っているようだった。
ここに来たのは少し前。朝一番にハルちゃんが怖い顔で出ていって、帰ってくるなり天城さんを連れて、流れるようにこの邸宅まで来た。
私はハルちゃんの少し後ろに立ちながら、目の前のテーブルを見つめた。その上には、分厚い資料ファイルと封筒が並んでいる。
あれがこの数ヶ月、私を苦しめてきたすべての証拠なのだと思うと、少しだけ胸に重いものを感じた。
その時だった。
「まあ。お客様とはいえ、朝から随分と強引なご訪問ね」
扉の奥から、落ち着いたヒールの音とともに薫子さんが現れた。微笑みを浮かべたまま、優雅にソファの前まで歩み寄る。
「それとも──不法侵入って言うべきかしら?月城さん?」
皮肉のにじむ声が空間に滑り落ちた。
ハルちゃんは一瞥すらくれなかった。そのまま視線をテーブルに落としたまま、冷たく応じる。
「……自分の足元が崩れている音に気づかないとは、相変わらずだな、九条さん」
薫子さんの笑顔が、ほんの一瞬だけ揺らぐ。
「足元を崩したつもり?……ずいぶん自信がおありなのね。でも、あなたにとって得があるとは思えないわ」
「得?誤魔化しと捏造で人ひとりの人生を潰そうとした女が、何を偉そうに」
ハルちゃんの声は、氷のように冷たかった。その口調に、隣で天城さんが無言のままファイルを渡す。
「証拠はすべて揃えた」
低く告げられたその言葉に、空気が一変した。
ハルちゃんは天城さんから封筒を受け取り、薫子さんの前に広げた。
その瞬間、薫子さんの顔から笑顔が消えた。
「九条薫子に、正式に通達する」
ハルちゃんの低い声が響いた。その声音には、誰も逆らえない冷たさと決意が宿っていた。
九条家の応接室は、息が詰まるほど静かだった。
高級なアンティークの家具と、手入れの行き届いた絨毯。
壁に並んだ一流画家の絵画たちも、この張り詰めた空気に押し黙っているようだった。
ここに来たのは少し前。朝一番にハルちゃんが怖い顔で出ていって、帰ってくるなり天城さんを連れて、流れるようにこの邸宅まで来た。
私はハルちゃんの少し後ろに立ちながら、目の前のテーブルを見つめた。その上には、分厚い資料ファイルと封筒が並んでいる。
あれがこの数ヶ月、私を苦しめてきたすべての証拠なのだと思うと、少しだけ胸に重いものを感じた。
その時だった。
「まあ。お客様とはいえ、朝から随分と強引なご訪問ね」
扉の奥から、落ち着いたヒールの音とともに薫子さんが現れた。微笑みを浮かべたまま、優雅にソファの前まで歩み寄る。
「それとも──不法侵入って言うべきかしら?月城さん?」
皮肉のにじむ声が空間に滑り落ちた。
ハルちゃんは一瞥すらくれなかった。そのまま視線をテーブルに落としたまま、冷たく応じる。
「……自分の足元が崩れている音に気づかないとは、相変わらずだな、九条さん」
薫子さんの笑顔が、ほんの一瞬だけ揺らぐ。
「足元を崩したつもり?……ずいぶん自信がおありなのね。でも、あなたにとって得があるとは思えないわ」
「得?誤魔化しと捏造で人ひとりの人生を潰そうとした女が、何を偉そうに」
ハルちゃんの声は、氷のように冷たかった。その口調に、隣で天城さんが無言のままファイルを渡す。
「証拠はすべて揃えた」
低く告げられたその言葉に、空気が一変した。
ハルちゃんは天城さんから封筒を受け取り、薫子さんの前に広げた。
その瞬間、薫子さんの顔から笑顔が消えた。
「九条薫子に、正式に通達する」
ハルちゃんの低い声が響いた。その声音には、誰も逆らえない冷たさと決意が宿っていた。