愛しのマイガール
天城さんによって、証拠の内容をが淡々と読み上げてられていく。
記者クラブへの裏金工作や、SNSの印象操作。密会写真の流出と、噂を煽るように仕向けた投稿の数々。そしてそれらに使われた振込記録、ネット工作会社との契約データ、内通者の証言、音声データ。
どれも薫子さんの名義ではなく、九条家関連の子会社と第三者口座を使った巧妙なもの。
「以上が、不正の記録です」
天城さんの冷静な声が、重く空気を叩くように響いた。
「そしてこれはすべて、月城専務の人脈と働きかけにより集められた情報です。今回の追及がここまで進んだのは、相手が『月城の名を背負う女性』だったからに他なりません」
応接室の空気が、目に見えて凍りついた。
月城の名を背負う女性──その言葉を天城さんが放った途端、明らかに薫子さんの表情が変わった。
唇を噛み締め、肩がわずかに震える。
「…っ、ふざけないで!こんなもので、私を追い詰められるとでも?」
絞り出すような声で反論し、睨み返すその目には、まだ自分は切り抜けられると信じている色が残っていた。
しかしハルちゃんは、どこまでも冷静だった。すっと別の資料を手に取ると、薫子さんの前へ滑らせる。
「……もちろん、それだけじゃない」