愛しのマイガール

私はその手をほんの少し握り返し、まっすぐ前を向く。

「では質問のある方は、どうぞ」

司会者の声に、記者が一人、手を挙げた。

「蓬来瑠璃さん。このような形での公の場は初めてかと思います。率直に、今の心境をお聞かせください」

私はマイクを握り、しっかりと顔を上げた。

「……正直、とても緊張しています。でも今は、巴琉さんの隣に恥じない自分でいられるよう、少しでも努力したいと思っています。未熟ではありますが、今日この日を迎えられたことが、何よりの励みです」

会場のカメラが、一斉にこちらを向くのがわかった。

でも、不思議と怖くはなかった。
そしてまた、今度は別の記者が手を挙げた。

「月城さんに伺います。これだけの騒動を経て、改めて蓬来さんとの結婚を決めた理由は?世間も注目していますが、決め手となった想いを聞かせてください」

質問に対しハルちゃんはマイクを取り、迷いのない口調で言った。

「決め手なんて、正直もう今さらですね。昔から決めていました」

その言葉に、会場が静まり返る。

「幼い頃から瑠璃さんとは顔を合わせていて、その頃、無邪気に『大きくなったらハルちゃんのお嫁さんになる』なんて言われたことがあって」

記者席から小さな笑い声と、どよめきが起きる。

「当時は子どもの戯言だと思っていました。けれど不思議とずっと、その言葉が心に残ってた。そして気づけば、それが俺の中では“当然の未来”になってたんです」

言葉に過剰な感情を乗せず、静かに淡々と、でも確かに思いを乗せる。

「だからどんなことがあっても、隣にいてもらうのはこの人だって、昔からずっと決めてました。強いて言うなら、それが理由です」

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