愛しのマイガール
「……きれいだね…」
思わずそんな言葉が口をついて出た。東京の街が、まるで宝石みたいに瞬いている。
風に揺れた髪を、ハルちゃんがそっと耳にかけてくれた。
「ハルちゃん、ありがとう。さっき、怒ってくれて」
「怒って当然だ。あんなくだらない言葉を投げられて、黙ってられるわけないだろ」
そう言って、彼は私の手をぎゅっと握った。その体温が、指先から胸の奥にやさしく染み込んでいく。
「……でもね、私ちゃんと、自分の言葉で言えたよ。私の覚悟と、ハルちゃんへの気持ち。……ちゃんと届いたかな?」
そう尋ねると、彼はまっすぐに私を見つめた。
「当たり前だろ」
夜景を映した瞳が真っ直ぐに私を捉えていて、そのまなざしの熱に、思わず胸がきゅっとなった。
「……なあ、るり」
「ん?」
「これからさ。もっとちゃんと、デートとかしていこうか」
「えっ?」
思わず聞き返してしまうと、ハルちゃんはほんの少し照れくさそうに笑った。
「考えてみたら、ちゃんとデートってしたことなかったなって。結婚会見までしておいて何言ってんだって思うかもだけど」
「……」
ひと息置いて、私はくすっと笑った。思い返せば確かにふたりきりで出かけることなんて、ほとんどなかった。
「……じゃあ、行きたいとこ、たくさん考えておかなくちゃね」
「ああ。季節ごとに全部連れてく。桜も、花火も、紅葉も、イルミネーションも」
「一年中だね」
「一年じゃ足りないな。何年でも、何十年でも」
ふとその言葉に重みが増して、私はハルちゃんを見上げた。彼の目はもう笑っていなくて、まっすぐに私を見つめていた。