愛しのマイガール


——『ハルちゃんとけっこんする!』

無邪気に、何のためらいもなく笑っていた私。
その隣で、やさしく手を繋いでくれたハルちゃんの笑顔。

淡くて、くすぐったくて、でもちゃんと胸の奥に残っている感情。

私はそっと顔を上げて、彼を見つめた。
ハルちゃんは何も言わずに、ただ待っていてくれていた。


「……ほんとに、いいの?」


(ハルちゃんは、それでいいの? なんの取り柄もない、私なんかで……)

ぽつりとつぶやいた私の言葉に、彼はほんの少し微笑んでくれた。

「俺が、るりがいいって言ってる。それじゃあダメか?」

たったそれだけなのに、不意に胸が熱くなった。

私は小さく息を吐いて、それでもまだ迷いを抱えたまま、そっと頷いた。

「……わかった。婚約者…ってことで。しばらくの間、ハルちゃんの傍にいる」

(……だってこれは、私を守るための、“仮”の婚約なんだよね?)

そう思って、私は「よろしくお願いします」と小さく頭を下げた。


軽い決断じゃなかった。
でも、ハルちゃんの差し出した優しさと包み込むような居場所のぬくもりが、ずっと張りつめていた心の糸をそっと緩めてくれた気がした。

顔を上げるとハルちゃんの目がやわらかく細められていて、その表情には言葉にしない安堵がにじんでいた。

かつて感じた、淡くてちいさな恋心。

それが胸の奥で、もう一度ゆっくりと息を吹き返している。そんな予感を、密かに感じた。


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