愛しのマイガール

「だからるりの気持ちが追いついてなくても、焦らなくていい。隣にいてくれるだけで、俺は幸せなんだ」

ゆっくりと、指先でなぞるようにして、彼は囁いた。

「もし置いていかれるのが怖いなら、俺が引っ張っていくよ。少し先を歩いて、振り返って、手を伸ばしてる。るりがその手を握ってくれたら、今はそれで十分だ」

その表情に、その言葉に、溶かされる。

言葉の一つひとつが、まるで心の奥にそっと触れるみたいで。
私は喉の奥がぎゅっと詰まって、何も返せなかった。

ハルちゃんの瞳には、「言葉は要らないよ」とでも言うような、変わらない優しさがあった。

彼の手がそっと私の頬に触れて、目元を撫でる。その仕草がくすぐったくて、恥ずかしくて、少しだけ目を逸らしてしまった。

「るりが、いつか自分の気持ちで俺の隣にいたいと思えるようになるまで……俺はずっと、ここにいるよ」

そう言って、彼はそっと、私の額にキスを落とした。

ふいに触れたそのぬくもりが、胸の奥に小さな灯をともした気がした。
心の深いところに、「大切にされている」という感覚が静かに沁みていく。

額を手で覆う。
そこに残る感触を思い出すだけで、顔がじんわり熱くなる。

(……ずるいよ、ハルちゃん)

おでこにキスだなんて。まるで昔読んだ絵本みたい。

けど、あの頃よりずっと、現実は優しかった。


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