愛しのマイガール
「ありがとう…ハルちゃん」
熱に浮かされそうになるのをごまかすように、小さく頭を振った。
「……私、まだ自分の気持ちがよくわかってないけど。いつか……ちゃんと応えられるように頑張るね」
「無理しなくていいよ」
「……でも、頑張りたいの」
きっとそれは、“恋”とはまだ呼べない。
でも、彼の隣にいたいと思う気持ちはたしかにあって。
それだけで、今の私には精一杯だった。
甘やかすようなハルちゃんの笑顔が胸をくすぐって、私は次の言葉を言い出すのに、少しだけ勇気がいった。
「えっと、それで、話は変わっちゃうんだけど」
なんだか妙に力が入ってしまって少し恥ずかしくなってしまい、私は誤魔化すための咳払いをしながら言った。
「さっき両親から連絡があってね。五日後に帰国するらしくて。ハルちゃんと一緒に挨拶に行くって伝えちゃったんだけど……よかったかな?」
ハルちゃんはわずかに目を細めて、私の話に耳を傾けた。
「当たり前だろ。こうして勝手に婚約まで広めておいて、謝罪のひとつもないなんて筋が通らない」
さらりと当然のように言ってのけるその姿に、胸がじんわりあたたまる。
「けどテレビ電話したとき、相手がハルちゃんって聞いてすごく喜んでたでしょう?事情も理解してくれたし。全然大丈夫だと思う。……むしろ色々言われそうなのは」
「翡翠か」
ハルちゃんの声が、私の言葉をすっと遮った。
「今朝一番に俺のところに早速連絡がきたよ。『ここまでとは聞いてない!』って、すごい剣幕で怒鳴られた」
「……お兄ちゃんが、ごめんなさい……」
私も苦笑いしながら、小さく肩をすくめた。
「私も怒られた。『どうしてマスコミに出る前に一言くれなかったのか』って。完全に親モードだったよ」
「あれはもう、親代わりの自覚すらあるレベルだな」
「そうかも……。うちの両親が自由主義なところあるから…」
「柔軟な思考で、いいご両親じゃないか」
ハルちゃんが微笑んでくれて、私もつられるように笑った。