愛しのマイガール
気付けば朝食のスープは、すっかりぬるくなっていた。
けれど、胸に残ったぬくもりだけは消えなかった。この部屋に流れる空気も、さっきまでとは違って感じた。
「……まだ、全部が怖くなくなったわけじゃない。この先、うまくいくかどうかも分からない。…でも、ハルちゃんがいてくれるから……私は、それだけで充分だよ」
私はそう言って、できる限りの笑顔で笑った。
ハルちゃんは何も言わず、頷いてくれた。彼が言葉を選んでいるときの顔。それが私は、なんだか好きだった。
問い詰めない、押し付けない。その沈黙の中に、いつも思いやりがあった。
そのまましばらくの間、穏やかな静けさが流れる。その静けさは、私の気持ちを、そっと育ててくれるようだった。
「……応接室に天城を待たせてる。九条側の動きを本格的に読みながら、方針を固めていく」
ぽつりと、ハルちゃんが口を開いた。静かに立ち上がりながら、そっと手を差し出してくれる。
「るりが感じてる不安は、全部俺が背負う。だから安心して。君は俺の隣にいてくれたら、それでいいから」
言葉に、力みはない。けれどその目は真剣だった。
その仕草はあまりに自然で。まるで昔からこうしてきたかのように感じられて、一瞬、胸の奥に柔らかな芽が芽吹いた気がした。
「うん……」
手を伸ばし、指先がふれると、すぐに包み込むように握り返してくれる。
ぎゅっと握り返してくれたその力は、どんな怖さにも立ち向かう勇気をくれた気がした。