契約母体~3000万で買われた恋~
どこか遠い目をしていた。

この家が“誰のため”に用意されたものなのか、彼もまた、複雑な思いを抱えているようだった。

私はまだ、この場所での自分の役割を、すべて理解しきれていなかった。

「早速、理央さんは体温表をつけてね。」

麻里さんは淡々とそう言って、紙と体温計を差し出してきた。

「……はい。」

私がそれを受け取ると、彼女はまるでスケジュールの確認をするように続けた。

「排卵日が近づいたら、慎一に連絡して。この家に来てもらって、性行為を行ってもらうから。」

「……えっ?」

私も、慎一さんも、同時に声を漏らしていた。

「体外受精じゃ……ないんですか?」

隣に座っていた慎一さんが、麻里さんを見つめながら尋ねた。

その視線はどこか戸惑いを含んでいた。

「そんなお金、あると思ってるの?」

麻里さんは笑った。
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