契りの花嫁 ~冷たい夫が、私に恋をした日~
けれど、返ってきた声は、どこまでも冷たかった。

「せっかくもらった旧華族の娘だからな。」

心臓が、ずるりと沈んだ。

ああ――やっぱり、これは“取引”なのだ。

優しさなんて、錯覚。

ただ“価値があるから”大切にするだけ。

私はそれ以上、何も言えず、黙って抱かれるしかなかった。

背中に感じていたはずのぬくもりが、ふいに遠くなった気がした。

寝室に入るとすぐに、私はベッドへと押し倒された。

畳の上ではなく、ふかふかの洋式ベッド。

柔らかいはずなのに、背中に受けた重みは重圧のように感じられた。

圭一郎さんは、何の躊躇もなく私の上に覆いかぶさる。

目を合わせる間もなく、低く囁かれた。

「今から、おまえを抱く。」

まるで予定通りの行為を伝えるように、淡々と。

私はほんの少し、唇を噛み――それから目を閉じて、静かに言った。
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