契りの花嫁 ~冷たい夫が、私に恋をした日~
「……どうぞ。」

それは覚悟の返事だった。

でも、そのあとに待っていたのは、想像と少し違っていた。

頬に、鎖骨に、下腹部に。

圭一郎さんの指先が、静かに這う。

その動きは意外なほど繊細で、触れるたびに肌が跳ねる。

「ここも……ほぐさないとな。」

低くささやく声が、耳の奥に落ちた。

そこに重なるのは――明らかに、味わったことのない感覚。

「んんっ……」

思わず、喉の奥から吐息が漏れた。

体の奥がじわじわと熱くなっていく。

自分がどんな顔をしているのか、もうわからない。

――私、こんな淫らな女だった?

そんな戸惑いを吹き飛ばすように、耳元で圭一郎さんが囁いた。

「……声を殺すな。聞かせろ。」

甘さのない命令口調。

でもその声には、どこか熱が混じっている。

――もっと、俺を興奮させろ。
まるでそう言われているようだった。

私の唇から漏れた声が、どんな音かなんて、もう考える余裕はなかった。

指先が深くなり、口付けが鋭さを帯びて――
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