とある幼なじみカップルのラブラブな日常
「あ」
《愛結、ちょうど呼ばれたよ!行こ?》

「………」

《愛結?どうしたの?
もしかして、体調悪い?》

愛結は首を横に振り《ううん、大丈夫。行く》と答えた。

天ざるそばを注文し、料理が来るのを待つ。
愛結は、周りの席の客達を見渡した。

楽しそうに会話をしながら、食事をしている。
当たり前のことだが、なんだか淋しくなる。

すると、大彌が目の前で手を振ってきた。

《何?》

愛結が首を傾げ聞くと《それは、こっちのセリフでしょ?》と逆に返された。
そして続けて《病院、疲れた?》と聞かれた。

愛結は、首を横に振る。
《大彌は、私といて楽しい?》

《もちろん!
楽しいし、幸せ!》
大彌は“何、当たり前のこと言ってるの?”と言いたげに微笑んだ。

《私といても、会話出来ないでしょ?》

《会話なら、今もしてるじゃん》

「………」
(そうだけど…)

《それに僕は、愛結の傍にいる時が一番幸せ。
例え会話が出来なくても、愛結が隣にいて、時々見つめ合って、微笑み合ってるだけで幸せなんだよ。
その証拠に僕、愛結から離れないでしょ?》

愛結が少し微笑んだ。

《だから、ずっと傍にいてよ。
僕から離れないでよ》

ふわりと微笑む大彌に、愛結は嬉しそうに笑った。

天ざるそばが来て仲良く食べ、自宅マンションに帰った二人。
すると、タオルケットを持ってきた大彌。

《愛結、昼寝するでしょ?》

毎回愛結は、病院から帰ると昼寝をするのが通例だ。
ソファに座った大彌が、自身の膝をポンポンと叩いた。

しかし愛結は首を横に振り《今日は大丈夫》と伝えた。
そして横から抱きつく愛結に、大彌は嬉しそうに抱き締め返した。

それからしばらくは大彌はゲーム、愛結は小説を読んで穏やかな時間を過ごし………

愛結が小説をテーブルに置いて、伸びをした。

隣の大彌を見ると、スマホを握ったままうたた寝をしていた。
愛結は微笑み、大彌が持ってきていたタオルケットを掛けた。

そして夕食の準備をするために、キッチンに向かった。

(あ!お砂糖がない!
ストックなかったっけ……
…………ない…
買いに行かなきゃ!)

愛結はキッチンから、ソファでうたた寝をしている大彌を見る。

(勝手に家出ていくと、怒るんだよね……)

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