とある幼なじみカップルのラブラブな日常
“僕はどっちでもいいから”

大彌が身体を洗ってくれている中、大彌の言葉が頭をぐるぐると回っていた。

私達はいつも一緒にお風呂に入り、大彌が頭や身体を洗ってくれる。
大彌は基本的に私のお世話が好きみたいだから。

………って!
今はそんなことはいいの!

“僕はどっちでもいいから”って!

素直に言えばいいのに。
“愛結と一緒に寝たい”って!

そんなことを考えていると、大彌が顔を前で手を振ってきた。
《どうしたの?
もしかして、痛い?》

え?
《何が?》

《身体。
険しい顔してるから。
僕、力入りすぎてるかな?》

どうやら、私が痛がっていると勘違いしている大彌。
むしろもっとゴシゴシしてくれて構わないくらい、優しい擦り方なのに。

《ごめんね。
力抜いてるつもりなんだけど、やっぱ男だからかな?
痛いよね?》

いやいや、違うし。
《ううん!
とっても気持ちいいよ!》

大彌を安心させるように微笑み伝えると、大彌は《良かった》とホッしたように微笑んだ。

あぁ…やっぱり、大彌の笑顔は安心する……!

…………
…………
………って!違う!

私は怒ってるんだから!
素直じゃない大彌に!


そしてお風呂を出て、大彌が再度聞いてきた。
《で?どうするの?》と。

私はどこか意地になっていて《まだ寝ない!》と伝えてしまった。

すると大彌は、少し切ない表情になり《わかった》と手を動かし《じゃあ、先に寝るね》と寝室に行ってしまった。

寝室のドアが閉まると、途端に寂しさが込み上がってきた。

私はソファの青い服のぬいぐるみを抱き締めた。

寂しい……

いやでも、大丈夫!
いつもなら、大彌が戻ってきて《やっぱり、一緒に寝よ?》っていって、私の機嫌を取りに来るんだから!

しかし、なかなかドアが開く気配さえない。

…………
…………
………大丈夫!大丈夫!

…………
…………
………なんで、戻って来ないのーーー!

私はぬいぐるみを抱いたまま、寝室に向かった。
ドアを少し開けて、隙間から中を覗いた。

大彌は、眠っていた。


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