とある幼なじみカップルのラブラブな日常
「――――大丈夫だって?」

スマホを胸ポケットに入れていた大彌に、同僚で友人のオオウチが声をかけてきた。

「あ、うん。
ごめん、仕事に戻るよ」

「とりあえず、良かったな!
でさ、今日飲みに行かない?って話になっててさ…」

「え?また?」

「うん。
でも前回断ったろ、松富くん。
だから、強制参加な!」

「は?
無理だよ」

「同棲中の彼女のこと?」

「うん。
一人には出来ない」

「………じゃあ…連れてくれば?」

「………は?冗談やめてよ」

「本気だけど?」

「彼女も嫌がる」

「でも松富くん、普段来ないだろ?
たまには良いじゃん!」

「逆にオオウチくんは、なんで毎回参加するの?
君、新婚でしょ?」

「飲み会好きだもん。
それに新婚だからって、ずーっと一緒にいたいわけじゃないし(笑)
なんか…手に入ったら、安心しちゃった!みたいな?(笑)」

「そうゆうもの?」

「俺はそう」

「ふーん…」

「………全然!興味なさそうだな(笑)
てことで!飲み会参加ね〜」

大彌は、大きくため息をついた。


仕事が終わり、一度自宅マンションに帰った大彌。

《ただいま》

ソファで小説を読んでいた愛結の隣に座り、微笑み伝えた。
ソファが動いて、大彌に気づいた愛結。
小説に栞を挟み、大彌に向き直って微笑んだ。

《おかえりなさい。
今日、ごめんね。心配かけて》

首を横に振った大彌。
愛結の前髪に触れ、優しく払った。

そして、ゆっくり手を動かし始めた。
《やっぱり、一刻も早く結婚しようよ。
夫婦になれば、僕は月の半分を在宅勤務に出来るんだ。
恋人ってだけじゃ、会社は納得してくれないからね…》

在宅勤務!?
これ以上、束縛されるのは……

愛結は、慌ててブルブル首を横に振った。
《私は大丈夫だから!
本当だよ!
在宅勤務も大変でしょ?》

元々から過保護な大彌。
愛結の耳が聞こえないので、その過保護度合いは更に増している。
過保護というより“束縛”されていて、愛結は息苦しさを感じている。
もちろん心配してくれてのことだし、愛するが故の行為なのもわかっている。
しかしこれ以上束縛されると、大彌への気持ちも薄れていく気がするのだ。

しかし大彌は至って普通に返してくる。
《在宅勤務してる同僚、結構いるんだよ?
子どもが小さいからとか、奥さんの仕事が忙しいから家事をしながら仕事したいからとか。
でも、あくまでも“家族”が理由じゃないと、納得してもらえないんだ。
僕も一度、課長に申請出したことあるんだけど“理由は最もだが、恋人じゃダメ”って言われたから》

(そうなんだ…
てゆうか、申請出したんだ…)

愛結は、大彌にわからないように息を吐いた。


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