とある幼なじみカップルのラブラブな日常
《一人で留守番出来るよ》

《ダメ》

《でも、面倒だもん》

《でもダメ》

結局大彌は飲み会を断れなくて、行くことになり……

その間“実家に帰るように”愛結に伝える、大彌。
しかし、愛結は“留守番する”とそれを断っていた。

《ね?
心配なんだ》

「………」
“心配”だと言われたら、断れない。

それに愛結は、大彌の人生の“負担になっている”と思っている。
自分がいなければ大彌には違う人生があって、もっと自由な人生を過ごしていけたはずだ。

耳が聞こえない愛結。
大彌は“僕が愛結の耳と声になるから”と言ってくれた。
“僕が代わりに聞き取って、愛結に伝える。
そして愛結の言葉と思いは、僕が代わりに伝えるよ”と。

それは、想像以上に大変だ。
自暴自棄になったこともある愛結を、大彌はいつも傍で支えてくれた。

“愛結の耳が聞こえないのは、個性。
それに、この手を使えばいくらでも伝えられる!
それでも伝わらなければ、僕がいるよ”と。


《愛結。
勝手なことを言ってるのは、わかってる》

心配そうに伝えてくる大彌。
愛結は、ゆっくり頷いた。

スーツから着替え、出掛ける準備をした大彌。
ソファに座って待っている愛結に、横から抱きついた。

向き直り《お待たせ》と伝える。

すると愛結はジッと大彌を見つめ、手を動かした。
《この格好で行くの?》

《うん。変?》

《変じゃないよ》

《じゃあ、良いよね?》

《良くない!
飲み会、女性もいるんでしょ?》

「フフ…」
《愛結、ヤキモチ妬いてくれるの?》
「可愛い//////」

《お洒落なんかする必要ないでしょ!》

《お洒落なんかしてないよ。
愛結とのデートならまだしも。
…………それに、どうして泣くの?》
何故か涙が溢れている愛結の目元を拭う。
すると、愛結が抱きついてきた。
そんな愛結の背中を、大彌は優しくトントンと叩いた。

過剰な過保護や束縛に少し呆れ気味だったのに、こんな小さな事で嫉妬してしまう。

(私の方が、依存してるのかも……)

そんな事を考えながら、愛結は向き直り大彌に《もう大丈夫》と微笑んだ。


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