とある幼なじみカップルのラブラブな日常
すると大彌が席を立ち、私の横に移動し座ってきた。

そして私に向き直り、ゆっくり頭を撫でた。
それから、手を動かした。

《どうしたの?》

《どうもしない!》

《お腹すいてるんでしょ?》

《帰って食べる!》

《わかった。
愛結がそうしたいなら、僕は構わないよ。
その代わり、何で泣いてるのか教えて?》

《泣いてないよ》

《泣いてるよ》
大彌が私の目元をなぞる。
私は、泣いていた。

《大彌が…》

《僕が、何か傷つけたかな?
ごめんね》

《違う。
淋しかっただけ》

《淋しい?
僕はここにいるでしょ?
それとも、向かい合って座るのが嫌だった?》

私は首を横に振り、意を決して《同僚の人と楽しそうに話してたでしょ?仲間外れみたいで淋しかっただけ》と伝えた。

すると大彌が、クスクス笑い出した。

は?
どうして笑うの!?
私は、真剣なのに…!

《愛結のこと、可愛いフィアンセだねって褒めてくれたんだよ!》

え……?

《僕、会社でよく自慢してるんだ。
可愛くて、素敵なフィアンセって!
だから、その通りですねってさ!》

《だから大彌、笑ってたの?》

《そうだよ。
愛結のこと褒めてもらえると嬉しいからね!》

そうだったんだ…!

私……勘違いしてた…!
大彌がカッコいいから、惚れられてるって思ってた……

《愛結、ヤキモチ妬いてくれたんだね!
可愛い!》

「……//////」
恥ずかしい……//////

顔が赤くなっていくのがわかる。

大彌はクスクス笑っている。

《笑わないで!》

《だって、愛結が可愛いから!
どうする?帰って食べる?
それとも、ここで食べて帰る?》

《食べて帰る。
大トロ食べる!》

《わかった!
一緒に食べようね!》

《いいよ。
一緒に食べて“あげる!”》

《やった!ありがとう!》

大彌が嬉しそうに笑っている。
私も、つられるようにやっと笑えた。

一緒にシェアして、お寿司を食べる。

私は大彌と微笑み合いながら(やっぱ、大彌には敵わないなぁ〜)と惚れ直していた。

そして同時に、大彌との結婚に対して不安が益々大きくなっていた。

こんな子どもっぽくてワガママな私は、大彌には相応しくない。

自信を持ちたい。

自信を持って“私は大彌のフィアンセ”って言えるように………!


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