とある幼なじみカップルのラブラブな日常
そんな大彌に、ケンタが「凄いなぁ〜」と感心したように笑う。

「え?」

「“運命”って言葉を、こんなに真っ直ぐ言い切れるとこですよ」

「でも僕は、愛結との関係はそうだと思ってます。
じゃないと、こんなに好きにならない」

「そっか!
素敵な関係ですね!」
ケンタは、そう言ってふわりと微笑んだ。


それから、大彌や友香が手話で愛結に通訳しながら、仕事の話などで盛り上がり………

ケンタが“これから長い付き合いになるし、敬語はなしにしよう”ということになるくらいに、打ち解けてきた頃。

「あ、俺ちょっと煙草吸ってきていいかな?」
ケンタが煙草を持ち、席を立った。

すると愛結が《大彌も付き合ってあげて?》と大彌に伝える。

《愛結は?》

《友香がいるし、大丈夫》

微笑む愛結。
友香にも「大彌も知ってるでしょ?私、そこいらの男より強いし!」と言われ、大彌も煙草を片手に座敷を出た。

店内にある、喫煙所。
そこに入ると、ケンタと男性が二人いた。

「大彌くんも?
どうぞ?」
ベンチの横をあけ、促すケンタ。

「今日はありがとね!」
大彌が隣に座り煙草を吸い始めると、ケンタが切り出した。

「え?」

「本当は“愛結ちゃんと二人が良かったんでしょ?”」

意味深に微笑むケンタに「あぁ…まぁ…」と答える、大彌。
「でも、ケンタさんと話すのは嫌じゃないよ」と言った。

「そう?(笑)
フフ…友香も言ってたな。
“大彌のこと嫌いじゃないけど、一生好きになれない”って(笑)」

「そうだね。
僕も、それは同意見かな」

「そっか!」

「だから、不思議。
ケンタさんは、なんで友香を一生添い遂げる相手に選んだのか」

「うーん…
大彌くんから見て、俺はどんな人間に見える?」

「爽やかな紳士」

「そっか(笑)
でもそれは、俺がそう取り繕ってるから。
本当は、そんな良い男じゃないんだ。
学生の頃は、警察沙汰なんてしょっちゅうでさ。
そのせいで、友達を亡くしたこともある。
…………友香はさ。
そんな俺に“大事なのはこれからのケンタでしょ?これから、その友達に恥じない生き方をしろ!”って言ってくれたんだ。
普通なら引くような話も、真剣に聞いてくれて、理解してくれて、叱ってくれた人」

「そうなんだ。
まぁ、友香なら言いそうだね」

「引いた?」

「全然。
友香の言う通りだと思うから。
それに本当にケンタさんが最低だったら、愛結が受け入れない」

「そう?」

「愛結って、耳が聞こえないせいなのかわかんないけど……
感覚が鋭いところがあって。
元々から繊細な人なのもあるんだろうけど、裏があるような人間には近づかないんだ。
しかもケンタさんは、親友の旦那。
ケンタさんが最低な人間だったら、愛結が結婚をやめさせてるはず」

大彌の言葉に、ケンタがフッ…と吹き出し、そして「ほんと、友香と愛結ちゃんは仲良いよね(笑)」と笑った。


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