神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
けれど、私はこの方と会うのは今日が初めてだ。

「エミリア・セラフィーナでございます。」

静かに名乗り、もう一度深く頭を下げた。

「うむ、良い名だ。」

国王陛下は微笑みを浮かべたが、その目の奥にはただの王としてではない、何かもっと“個人的な感情”のようなものが滲んでいた。

続いて、王妃陛下が一歩前に出て、私を見つめた。

その瞳には、優しさと探るような冷静さが同居していた。

「この国に、聖女が戻ってきてくれて嬉しく思います。神殿からの報告は、何度も拝読しておりますよ。……あなたのことも」

「……恐れ入ります。」

私は言葉を選びながら応えた。

そして、空気がふっと変わった。

後ろにいた影が、静かに一歩、前へと進み出る。

長く伸びた黒髪。鋭い金色の瞳。

漆黒の衣を纏い、まるで夜の中に光る星のような存在感を放つ青年――

皇太子、レオナルト・ヴァレンティス殿下。
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