神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「……っ!」

クラリーチェの肩がビクリと震える。

「愛したかったんだ。君を。だけど、心はいつも遠くにあった。君にとって俺は、“愛する男”じゃなく、“手に入れるべき玉座”だった。」

クラリーチェは、唇を噛みしめた。

目元から、ひとすじ、涙がこぼれる。

「そんなはず……私は……私は……」

震える声でつぶやいた。

「いつから……そうなってしまったの……私はただ……魔女として、愛されたかっただけなのに……」

そのとき、レオがそっと手を伸ばした。

「俺はクラリーチェ、君を魔女としてとか、公爵令嬢としてとか、そういうものではなく……」

レオの声は真っ直ぐだった。

「一人の女として、愛したかったんだ。」

その言葉を聞いた瞬間――
クラリーチェの瞳に宿っていた冷たい光が、ふと揺らいだ。

「ああ……」

わずかに震える声。
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