神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「……ですよね。」

「でも――」

言いかけて、彼の金の瞳がまっすぐに私を射抜いた。

「俺が君を守りたいのは、信託とか義務のせいじゃない。君が君だから、だよ。」

「……!」

言葉が出なかった。

思わず膝の上で手を握りしめる。

「そんなに緊張しないで。馬車に揺られてる間くらい、少しは力を抜いて。」

優しい声音。

肩にそっと羽織らせてくれたショールが、あたたかい。

私は小さくうなずいた。

ああ、どうしてだろう。

この人が隣にいるだけで、こんなにも心が穏やかになるなんて。

そして、目的の地に到着した。

馬車から降りると、土の香りと共に、人々のざわめきが聞こえてきた。

「ああ、聖女様……!」

年老いた村長が涙ぐみながら私に膝をついた。

「本当に……本当に来てくださったのですね……!」

「はい。大丈夫です。私が、なんとかしますから。」
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