神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
私は村長の手を握った。

この人たちのために。

祖母が願った通りの“聖女”になれるのなら、私はその務めを果たしたい。

そして私は、浄化の準備のため、穢れた大地の中心へと足を踏み入れた。

そこは、見るも無惨な土地だった。

土は黒くひび割れ、花は色を失い、草すらも枯れ落ちている。

命の気配がまるでない。

私は静かに膝をつき、両手を大地に触れさせた。

「どうか、この地に、清き光を――」

その時だった。

「う……うわああああああっ!」

後方から村人の叫び声が上がった。

何事かと振り向いた瞬間――

地面の裂け目から、黒い影が飛び出した。

「魔物……!?」

鋭い爪、真紅の目、腐ったような臭気をまとう異形のものが、私に向かって飛びかかろうとしていた。

しまった――!

“穢土には魔物が棲むことがある。油断してはいけない”

……おばあちゃんの声が、今さらになって胸をよぎった。

でももう、遅い。
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