神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「えっ……」

私は下を向いた。

――どういうこと?

私が来てから泉が枯れた? まさか、そんな……

すると、傍らにいた年配の女使用人が低い声で言った。

「優しそうな顔して……結局、聖女の力を誇示したいだけなんじゃないのかい?」

「そんな……」

私は首を振った。

「私は、そんなことのために……」

声が震える。けれど、私は気持ちを立て直し、落ち着いた声で言った。

「どうか、私に泉を案内してください。真実を、私の目で見たいんです。」

しばし沈黙が流れた。

使用人たちの間で視線が交わされ、何人かはあからさまに疑いの目を向けてきた。

それでも私は逃げずに、その場に立ち続けた。

「力になりたいんです。私には、それしかできないから。」

その時、一人の若い青年が前に出てきた。

「……こちらです。」

彼は静かに、けれど迷いのない声でそう言ってくれた。

「ありがとう」と私は小さく呟き、彼のあとに続いた。
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