神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
「……ない。やっぱりない。」

唇を噛みしめた。

クラリーチェの使った呪文「マル=ナグ・サエルヴァ」の意味も、どこにも記されていない。

「そうだ……おばあさまの家なら――」

エミリアはすぐに使いの者を呼び出した。

「お願いがあります。祖母の屋敷に行って、魔術に関する本があれば、持ってきてほしいのです。」

使用人は目を見開いたが、すぐにうなずいた。

「承知しました。急ぎお届けいたします。」

エミリアは窓辺に立ち、沈みかけた夕陽を見つめた。

(……お願い。間に合って。魔女の力を止められるだけの知識が、どうか届きますように)

その祈りは、静かに夜の空へと吸い込まれていった――。

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