神託で選ばれたのは私!? 皇太子の溺愛が止まらない
私はまだ戸惑っていた。

けれど、この人なら、少なくとも敵ではなさそうだ。

そう思わせる、優しい空気があった。

「さあ、参りましょう。これから長い務めが始まります。けれど、あなたには――時間があります。ゆっくりで構いません。」

その言葉に、私はほっと小さく息をついた。

「初めに、あなたの部屋を案内しましょう。」

そう言ってユリオ様が導いてくれたのは、てっきり神殿の奥かと思っていたのに――

着いた先は、なんと王宮の一角だった。

「……ええっと、私、宮殿に住むんですか?」

恐る恐る尋ねると、ユリオ様は立ち止まり、振り返って微笑んだ。

「神殿は神が住まう場所。人の形をしている“聖女様”は、人の場所に住まうよう、記されているんですよ。」

「そんなことまで、信託に……?」

「ええ、古の文書に。“神と人の橋となる者は、人の世界に一歩身を置くべし”と」

“橋となる者”――それが、私。
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