紳士な弁護士と偽りデートから
紳士的な弁護士さんと偽装デート
「ま、待ち合わせですか?」
《また、嫌な目に会う時、会っておいた方がよろしいかと》
「い、いいのですか?」
《僕は構いません。その方がやりやすいですし》
仕事っぽい口調に、違和感はない。
「それでは.......○○駅とか?」
《分かりました。それでは、後ほど》
「よろしくお願いいたします」
あかりはそう言って、電話を切った。
十数分くらいで、坪平海都がやってきた。身長は170センチくらいだろうか。匠とは違い、クールな印象だ。
「初めまして」
彼はクールに話して、名刺を渡す。
「は、初めまして」
「そんな緊張なさらず」
彼はふっと、微笑む。
あかりはクールな印象だった海都の、突然な笑みに、ドキリとした。
「え、えへへへ」
「どこか......、カフェでも行きますか?」
「それならいとこが経営しているところでいいですか?」
「【北欧のそよ風】ですか」
「はい。知ってるのは、お父様でですか?」
「ええ。一度は行ってみたいとは、思っていました」
「では、行きましょう」
あかりは嬉しくなった。
弁護士というだけあって落ち着いている。
ドアを開けると、茜音は男性と一緒にいるあかりを見て、驚いた。
「あら? どなた?」
海都は茜音が訊ねるや、すぐに名刺を取り出した。
「坪平海都です。父がよく来る喫茶店だそうで」
茜音は名刺を見ると、ふんふんと頷き、
「どうゆうこと?」
と、あかりに聞いた。あかりは説明すると納得する。
「凄い偶然じゃない」
「偶然が重なって、こうなりました」
海都は言うと、さりげなくあかりをエスコートして、席に座らせた。
それを見ていた茜音は、やだ、素敵。なんて、思う。
茜音はメニューと、お冷やを持って行った。
仕草も丁寧だ。
それから二人を見ていると、なんだか楽しそうに会話をしていた。
いい感じかもしれない。
それなりに客が来なくなったので、茜音はコーヒーを入れて、うまくいくといいなぁ、茜音はそう思いながら、一息ついた。
海都は腕時計を見た。
「7時ですか......。橘さんがどんな方か分かったので、そろそろ帰りますか」
「はい」
割勘にして、二人は【北欧のそよ風】から出て行く。
今時、あんな紳士な人いるかってくらい、ファーストレディを重んじている人だ。お父様似ね。それが、茜音の印象である。
駅近くになると、人が行き交っていた。
「あっ」
そんな中で、あかりは匠を見つけた。
「どうされました?」
「今日会う予定だった例の......」
「野獣ですね」
「や、野獣」
あかりはひっそりと教えた。先ほどは人ゴミに隠れていたが、隣には会社の同期と一緒だった。
うわっ! サイテイ!
あかりは青ざめる。あからさまに腕を組んでいるからだ。
「確か......、ご結婚されていましたよね?」
「え、ええ」
「常習犯ですね」
海都はさりげなくスマホをかざした。
「ほんとなら、これは探偵さんに頼むのですが、緊急性があったので」
海都は心配したあかりにそう伝えた。
「そうなのですか」
「ええ。不利なことをして、裁判で言われる可能性もありますから」
「弁護士も、結構大変なのですね」
しみじみ言うあかりに、海都はまじまじと見て、微笑むだけだった。
「ちょっと、彼らの行動を把握しましょうか?」
「えっ?!」
裁判で言われるとか言っておきながら、海都は尾行しようと言うのだ。
けれど、これから一人帰るのが寂しいと思えたあかりだったので、嬉しかった。
《また、嫌な目に会う時、会っておいた方がよろしいかと》
「い、いいのですか?」
《僕は構いません。その方がやりやすいですし》
仕事っぽい口調に、違和感はない。
「それでは.......○○駅とか?」
《分かりました。それでは、後ほど》
「よろしくお願いいたします」
あかりはそう言って、電話を切った。
十数分くらいで、坪平海都がやってきた。身長は170センチくらいだろうか。匠とは違い、クールな印象だ。
「初めまして」
彼はクールに話して、名刺を渡す。
「は、初めまして」
「そんな緊張なさらず」
彼はふっと、微笑む。
あかりはクールな印象だった海都の、突然な笑みに、ドキリとした。
「え、えへへへ」
「どこか......、カフェでも行きますか?」
「それならいとこが経営しているところでいいですか?」
「【北欧のそよ風】ですか」
「はい。知ってるのは、お父様でですか?」
「ええ。一度は行ってみたいとは、思っていました」
「では、行きましょう」
あかりは嬉しくなった。
弁護士というだけあって落ち着いている。
ドアを開けると、茜音は男性と一緒にいるあかりを見て、驚いた。
「あら? どなた?」
海都は茜音が訊ねるや、すぐに名刺を取り出した。
「坪平海都です。父がよく来る喫茶店だそうで」
茜音は名刺を見ると、ふんふんと頷き、
「どうゆうこと?」
と、あかりに聞いた。あかりは説明すると納得する。
「凄い偶然じゃない」
「偶然が重なって、こうなりました」
海都は言うと、さりげなくあかりをエスコートして、席に座らせた。
それを見ていた茜音は、やだ、素敵。なんて、思う。
茜音はメニューと、お冷やを持って行った。
仕草も丁寧だ。
それから二人を見ていると、なんだか楽しそうに会話をしていた。
いい感じかもしれない。
それなりに客が来なくなったので、茜音はコーヒーを入れて、うまくいくといいなぁ、茜音はそう思いながら、一息ついた。
海都は腕時計を見た。
「7時ですか......。橘さんがどんな方か分かったので、そろそろ帰りますか」
「はい」
割勘にして、二人は【北欧のそよ風】から出て行く。
今時、あんな紳士な人いるかってくらい、ファーストレディを重んじている人だ。お父様似ね。それが、茜音の印象である。
駅近くになると、人が行き交っていた。
「あっ」
そんな中で、あかりは匠を見つけた。
「どうされました?」
「今日会う予定だった例の......」
「野獣ですね」
「や、野獣」
あかりはひっそりと教えた。先ほどは人ゴミに隠れていたが、隣には会社の同期と一緒だった。
うわっ! サイテイ!
あかりは青ざめる。あからさまに腕を組んでいるからだ。
「確か......、ご結婚されていましたよね?」
「え、ええ」
「常習犯ですね」
海都はさりげなくスマホをかざした。
「ほんとなら、これは探偵さんに頼むのですが、緊急性があったので」
海都は心配したあかりにそう伝えた。
「そうなのですか」
「ええ。不利なことをして、裁判で言われる可能性もありますから」
「弁護士も、結構大変なのですね」
しみじみ言うあかりに、海都はまじまじと見て、微笑むだけだった。
「ちょっと、彼らの行動を把握しましょうか?」
「えっ?!」
裁判で言われるとか言っておきながら、海都は尾行しようと言うのだ。
けれど、これから一人帰るのが寂しいと思えたあかりだったので、嬉しかった。