影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
その言葉が落ちた瞬間、誠一郎さんの瞳がふっと細くなった。

喜びと、愛しさと、欲望がないまぜになった表情で、私を深く見つめ返す。

「梨沙……」

彼の唇が私のものに重なった。優しく、けれど情熱的に。

唇を離したあとの吐息すら、私を悦ばせる音になっていた。

ゆっくりと身体を重ねていく。

愛しさが波のように広がって、どこまでも深く、どこまでも優しく。

「梨沙……愛してる。」

「私も……誠一郎さんを愛してる。」

何度も、何度も重ねるたびに、“夫婦”という言葉の意味が、心と体に刻まれていく。

私はもう、彼の妻だ。

愛されて、愛して、こうして繋がっていられる。

「愛し合うって、こういう事ね。」

そう言った私に、誠一郎さんは深く頷いた。熱を帯びた視線が、私を全身で包み込んでくる。

「梨沙……いつまでも、こうしていたい。」

抱きしめられた身体に、確かな温もりが伝わる。ふたりの鼓動が重なり合って、境界が溶けていく。
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