影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
「今夜は、朝まで君を抱く。」

低く囁かれたその言葉に、全身が震えた。

「……はい。」

私の返事に応えるように、誠一郎さんは唇を落とした。頬、額、瞼――それから、唇にそっと重なる。

「梨沙……」

「誠一郎さん……」

言葉の代わりに、指先が肌を辿り、熱が重なっていく。私は彼を受け入れ、彼もまた私を包み込む。

激しさの中にも、愛おしさが滲んでいた。何度も、何度も、確かめ合うように。

「俺に、ついてきてほしい。」

「はい……どこまでも。」

熱情が激しさを増す。

「誠一郎さん……」

「梨沙。」

言葉はいらない。最後に愛の証が私の中に注がれた。

「ああっ!」

彼の全てを受け入れた瞬間、私は愛されている実感に満たされた。

心も身体も彼に包まれて、ただ幸せだけが胸に広がっていった。

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