影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
彼の体温が、私の奥深くにまで入り込んでくる。

「梨子、俺は君を抱かずにはいられない。」

その言葉が、心の奥に響いて、甘く疼いた。

「……ああ、来て……」

彼の動きは強く、激しく、けれどどこか切実で、愛しさに満ちていた。

体が絡み、熱がぶつかり合うたび、私の中の彼が、もっと深くに刻まれていく。

「もう……ダメぇ……」

「梨子っ!」

最後のひと突きで、すべてが溶けて崩れた。

「ああああ……!」

彼の熱が、一気に私の中に注がれる。

それは、愛の証のようで……私は涙をにじませながら、彼の首にしがみついた。

「……ありがとう……」

「礼を言うのは、俺の方だ。」

誠一郎さんが、私の上に体を預けるようにして囁いた。

「俺を、こんなにも……受け入れてくれて。」

その声音には、どこか弱さが混ざっていた。

普段は毅然としている人が、こんなふうに私だけに見せてくれる姿。

胸が、じんと熱くなる。
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