影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
「梨沙、梨沙……」

誠一郎さんは、まるでその名を確かめるように、何度も呼んだ。

私は頷くたびに、涙が零れそうになる。

「ああ、本当の君を抱くよ。梨沙。」

額に、優しいキスが落ちる。

その温もりに、心がふわりとほどけていく。

「梨沙、愛している。」

その言葉が胸に染み渡り、私は彼の腕の中で微笑んだ。

「ありがとう……誠一郎さん。私も、愛してる。」

そういうと、本当の私が抱かれているような気がした。

誠一郎さんの熱が、深いところまで私を満たしてくれる。

「梨沙……何度も君を抱いた……」

その声が震えていた。

「梨沙がいないと、俺は生きていけない。」

涙が頬を伝う。

「私もです。誠一郎さんなしでは、生きていけません。」

唇が重なる。もう嘘はない、何も隠していない。

「明日、はっきり言う。梨沙を、俺の妻にしたいと。」

その言葉が、胸の奥に溶け込んでいく。

私はただ静かに頷いた。やっと、私自身の物語が始まる。
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