影の妻、愛に咲く~明治の花嫁は、姉の代わりだったはずなのに~
「うわわん……!」

嗚咽を漏らす私に、母は弱った手でそっと触れる。

「泣かないの、梨沙……」

「だって……! お母さんだって、ずっと我慢してきたのに……どうして誰も守ってくれないの……!」

「私はもういいの。……でも、あなたには、誠一郎さんがいるじゃない。」

「でも……っ」

「あなたは、愛されていいの。私は――あの人を信じすぎた。けれど、あなたには、本物の愛があるでしょう?」

私は母の胸にすがりついた。

その体は小さくなっていて、それでも私を包み込んでくれる、母の温もりがあった。

「梨沙、あなたが幸せになってくれれば、それが私の生きる力になるのよ。」

「……うん……うん……」

母の愛に包まれながら、私は、もう一度誓った。

絶対に、幸せになる。誠一郎さんと、母と――この手で掴み取ってみせる。
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