悪 狐
嫉妬
「岩端、今日の調子はどうだ?」
担任の大内 利尚(おおうち としなお)先生。
私の額に手を当てて、首を傾げた。
「高くはないみたいだけどな、顔色が少し悪い気がする。」
それは、ただ青白いだけかも。
私だって毎日、好きな人に会いたいけれど。
相手にとって私は恨みの対象でしかないわけで、気分を害した表情に傷つく。
負のサイクル。
無理して、本当に体調が悪い私を彼は無下にはしない。
身に沁み込んだ優しさ。
思い出すだけで、胸がいっぱいになるのに。足りない。
気を付けていないと貪欲な自分が現れる。
体調を左右するように。
卑怯だと思いながら、仕方のない事だと自分を誤魔化して。
それで良い訳がない。
「先生、今日は大丈夫です。」
私は真っ直ぐ、先生と目線を合わせた。
「そっか、あまり無理するなよ。それに……あいつは、危険だからな。」
あいつって、保月先生の事なのかな。
私は首を傾げた。
そんな素振りに、笑顔で。
「確かに、汚すのは楽しいかもしれない。」
眼が鋭さを増し、私は足を一歩下げた。
小さな低い声は、周りには聞こえなかったみたい。