小夜啼鳥

目を上げ、そこに居たのは菊水 一栄(きくすい かずえ)。
同じクラスだけど、あまり話をしたことが無い。

越水くんの告白の事を知っているなんて。

「どうして私に聞くの。彼が私に告白をする事を、知る事が出来たなら、結末も同じ情報源から聞けばいいわ。」

これ以上、問題を増やさないで欲しい。
睨んで敵意を示す私に、彼女は視線を逸らしてため息を吐く。

「そうね、あなたの言う通りだわ。」

あれ、自分の中で予想していたような反応じゃない。
何故か、それで安心してしまった。

「ごめんなさい。私、心の余裕がなくて。冷たい言い方だった。……だけど。」

告白を断ろうとする自分の意思など、彼に対して曖昧にしているのに、他人から情報が入るのもどうかと思う。
視線を私に戻した彼女は苦笑を見せる。

「古海さん、私の名前って知ってる?」

「菊水 一栄(きくすい かずえ)さん。だよね?」

彼女の意図が見えなくて、少し身構える。

「越水くんとは遠縁なの。ずっと好きだったわ。」

一瞬、何を言っているのか分からなかった。
どうして親しくない私に告げるのかも理解できず。
それでも共通の何かを感じた気がする。

「菊水さん、私は……別の好きな人が居る。」

名前は出さない。
ここまで言っているのに、自分では認めていないのだと、歯止めのつもりだった…………




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