小夜啼鳥

西洋ウグイス


お昼休み。
お弁当を藤九郎から受け取り、一応のお礼。

「ありがとう。」

ウワサがあるのなら、これぐらいの距離感は伝われば良い方。

「少し、顔色が良くなったか。安心したよ。」

無意識なのか、藤九郎は自然と私の頬に指を滑らせて笑顔を見せた。
息詰まるような感覚。

掠るように触れた部分が熱を発するようで、一気に体温が上昇する。
治まっていた苛立ちが沸騰。

「触らないで!」

教室内の空気が一気に凍りついたのを感じた。
自分も冷静になる。

「ごめんなさい。」

視線を逸らし、お弁当を持って教室から走って逃げた。
お弁当を持って追いかけて来られては、意味がない。

藤九郎には『彼女』がいるのだから。

息を切らし、さ迷う様に歩き出す。
裏庭の木陰を探し、座り込んだ。

「はぁ~~。」

大きなため息。


「馬鹿ね。あんなの、周りに好きだと言っているようなものよ?」

声がして、顔を上げた。

「ふ。びっくりした顔も可愛いわね、あなた。」

菊水さんの笑顔と、優しい声が降り注ぐ。
上手く笑えない。涙が出そうになる。

「あはっ。綺麗な菊水さんに褒められて嬉しいかな。どうしてここに?」

彼女は手に持った包みを見せてから、私の隣に座った。

「一緒に食べましょうよ。恋バナでもしながらね。」


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