小夜啼鳥
「ほらね。誰かに支えられるなら、少しは楽でしょう?私も楽になりたいの。三郷 (みさと)の選んだ子が、どんな人なのか知りたい。」
彼女の声が優しく頭に響く。
「言ったでしょ、私は自分を護る為に誰かを利用するんだと。」
「踏み止まった事も聞いたわ。私はね、あなたが今の状況と距離を置くべきだと思うのよ。さ、授業が始まるわ。放課後までに、私の家に来るか考えておきなさい。」
菊水さんは同い年なのに、お姉ちゃんみたいだな。
教室までの道程、彼女は前を真っ直ぐ見つめて歩く。
『馬鹿ね。あんなの、周りに好きだと言っているようなものよ?』
追いかけてきた菊水さんが私に、最初に言った言葉。
私の気持ちは、そんなに単純だろうか。
『好きな人が居る』
口に出してしまった。
私の想いを。
だけど認めるわけにはいかない。
今までの経緯を菊水さんに一通り吐き出し、考えがまとまったと思って出した結論は間違っている。
そう、私自身が知っている。逃げても問題は解決しない。
答えは自分の中にある…………
放課後。
私は藤九郎に、菊水さんの家に泊まることを告げた。
真っ直ぐ見上げた私に、藤九郎は視線を逸らさず苦笑。
「七帆、俺に黙っていることが何かあるよね?」
「あり過ぎて、どのことを言っているのか分からないわ。ごめん、菊水さんを待たせているから。」
今日見た藤九郎の笑顔と苦笑。
私の態度が、彼の表情や感情を左右する。