小夜啼鳥
墓場鳥
藤九郎や家族と距離を置き、一栄の家で過ごす時間は私に余裕を生み出していく。
感情に駆られたり、苛立ちで冷静さを奪われたりすることも無く。
恋バナと言いながら、一栄は私を誘導するような会話を続けた。
自分の中に在る答えを導き出すような、そんな感覚。
「で。あなたは、どうしたいの?」
家を出ることが出来るとしても、卒業後。
「分からない。」
「風間くんの事、好きなんだよね。あなたが一番、気にしていることは何? 」
一番気にしている事。
藤九郎を好きだからこそ。
「好きだと言ってくれた気持ちは、私自身に対してなのか。おじ様の幼い頃からの教育の賜物なのか。」
「彼は何て言っていたの?」
私は口を閉ざして、藤九郎の言葉を思い巡らした。
『俺は決して、周りに感化されたわけじゃない。俺の意志で、ここにいる』
最初から藤九郎には、私の不安が分かっていたのかもしれない。
「自分の意思で、どんな方法でもかまわないから私に近づくと。そして自分の命を懸けるから、傍に居ていいかと問われた。」
彼の必死な言葉が、私には途切れた記憶としてしか残っていない。
認めるわけにはいかなかった。
会っていない期間が、どれほど経っていたのか。
私にとって彼は幼馴染、そして小さな初恋……