三度目の結婚 〜最初から相手は決まっていたようです〜

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 もともと、コーディアナはランダールという王国の王族だった。

 本人に言わせると、

「王族のはしくれ」

 である。

 実はランダールの社交界では、

「忘れ花の姫」

 と呼ばれてもいたが、本人の耳には入っていない。エリンもあえて姫の耳には入れなかった。絶対に調子にのるからである。

 前々々国王の孫姫、という王家の中枢から離れた血筋と、そのころ彼女の暮らしていた離宮に忘れなの花が咲いていたことからついたあだ名であろう。

 また、九歳にしてキルデンという小さな公国へ嫁ぎ、数年後、公国の滅亡とともにひっそりと出戻ってきたことも「忘れ花の姫」の由来だと思われる。
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