奪う
「流れは決めていますか」

 彼はカナデの顔を見て尋ねた。思い描いていることがあるのだろう、カナデは考える素振りも見せずに薄笑いを浮かべた。怪しげな顔であり悪い顔である。

「金蔓に連絡はせずに、ミコトさんと一緒に金蔓の家に行きます。突然来ても金蔓の性格上、追い返すことはないと思うので、家に上がり込むことはできるはずです。その後は、ミコトさんのタイミングで殺してください」

「俺と金蔓は面識がありませんよ。カナデさんは安全に家に上がることができても、金蔓にとっては知らない男でもある俺は怪しまれませんか」

「それは問題ないです。ミコトさんのことは、俺の唯一の親友として金蔓に話してありますから。前に話してた大事な親友だって言えば、ぎこちなくはなっても家には上げてくれると思います」

 知らないところで勝手に親友にされているが、彼はいちいち突っ込みはしなかった。金蔓がカナデと一緒にいる見知らぬ彼と接触しても変に警戒しないように、予め手を打っていたのかもしれない。前もって親友のことを話しておけば、いざという時にこの人は親友だと紹介できる。カナデもいろいろと考えているようだが、それならそうと言ってほしかったものである。

「そうですか。家に上がることさえできれば何でもいいです。必ず殺りますので」

「俺も心霊スポットで殺した時みたいに協力します。何でも言ってください。ミコトさんは俺のかけがえのない親友ですから」

 カフェオレとコーヒーを各々飲み、一旦話に区切りをつけた。来週の土曜日、カナデと共に金蔓を殺しに行く。カナデと出会ったその日に掲げた目的をようやく達成できそうで、今から当日が待ち遠しかった。彼は殺しの予定ができたことに胸がじわじわと熱くなり、溢れ出しそうになる欲望を冷たいカフェオレで飲み下した。

「俺とミコトさんは親友ってことなので、食い違いが起きないように、金蔓の前での俺の人物設定を今からざっとお伝えしますね」
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