売られた少女はクールな闇医者に愛される
「体調どうだ?」

雅人はベットに眠る雪菜を見ながら冬弥に聞く。

「んー。あんまり良くないですね。喘息の治療と栄養の点滴はしてますが·····。一度目が覚めたんですけど、急に起きた影響もあり、激しい頭痛を訴えたので、鎮痛薬入れてまた、寝かせました。それからまだ起きてきてません。」

「そうか。もうここに来て3日目だな。」

「そうですね。この女これからどうするつもりですか?」

倒れてきた当日、桜とともに着替えさせた際、橋本組の烙印がみつかった。

そこから徹底的に調べて、高杉雪菜、山室高校2年生であり、叔父夫婦に3億で売られたことがわかった。

3億もの大金をはたいて買った商品を橋本組が簡単に手放すとは思えない。こちらにいると分かれば、死にものぐるいで奪いに来るだろう。

橋本組は気に食わないが、人数も多く、確実に勝てる構想がまだ出来ていない。こちらも痛手を追う可能性を考えると返却するのが都合が良い。

ただ、こんなにも弱ったまだ16歳の少女を返すのに京極組としては抵抗はある。逃げた罪にとられ、もっと酷い状態になることは間違いないからだ。

「そうだなー。話せるようになってから考える。ひとまず回復を待とう。よろしくな!!冬弥!」

冬弥はかなりめんどくさそうな顔をして見せた。正直、知らない女を匿う理由はないし、治療してあげる必要はない。

雅人は極道に必要な厳しく、冷静な所がある一方、どこか優しく愛嬌のある人柄が周りを引きつける。
若頭として必要な統率力を持っているなと感じるし、だからこそついていきたいって思う。

雅人に頼まれたら断ることなんて、出来るはずもなく、ため息を吐くと、大柄な雅人が豪快に笑いながら、肩を叩いた。
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