彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
「莉々なら大丈夫よ。慎重だから。無理だと思ったら、やめればいいじゃない? そうね、契約書にその旨を書いておけばいいわ。『大家の都合により、二カ月前の事前通告により契約解除の可能性あり』とか」
「ええ? そんな簡単に言うけど……」

 やっぱり私には無理ではないか。

 シェアハウスの運営をちゃんとできるくらいなら、もっと早くに司書の採用試験に合格している気がする。
 なかなか合格できないのは、自己管理能力が足りないせいだ。仕事にかこつけて、つい勉強をさぼってしまったり、試験前の追い込みが足りない。

 自分を律することもできないのに、他人を管理するなんて、可能なんだろうか?

「――やっぱり無理だと思う」
「そう? やらずに諦めるのはもったいないと思うけど。でも、莉々の好きにしたらいいと思う」

 母も納得し、この話は終わったはずだった。
 職場でも、雨宮先生は何も話しかけてこなかった。

 ところが――。
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