彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
「他に誰がいる」

 ええ?

「そんな、無理です。契約書なんて私、作ったことないですし――」

 契約書作成って、弁護士の仕事だ。

「だから、渡しただろ。参考書」

 雨宮先生はすました顔だ。

「どれも基本的な内容で簡潔に書かれているから、野崎さんなら、読めば理解できるはず。。ひな型がいくつも掲載されているから、真似して作ればいい。できたら、持ってきて。俺がチェックする。期限は、再来週の月曜日にしよう。ちょうど仕事が一段落つくから。で、前後するけど、来週末に家、見に行っていい?」
「え?」

 私は思わず聞き返してしまった。情報量が多くて理解が追いつかない。それに最後、家、見に来るって言った? まさか。

「……」

 先生は黙って私を見ると、ふう、とため息をついて、ライブラリのカウンターに向かった。
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