彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
 一ヵ月後。雨宮先生の仕事が、珍しく午後七時で終わった金曜日。

 雨宮先生は再び、私の家にやってきた。

 そして二人で契約書を読みながら、玄関の使い方、洗濯機やお風呂場の使い方や使用時間など、実際の生活をイメージしながら、順番に細かい部分まで確認していく。
 母はもういない。

「いつ入居希望者の内見があってもいいように」と、先週末に婚約者の葉山さんと借りた新居に引っ越した。

 普通なら、男の人と家に二人きりなんて、緊張してしまいそうな場面だけど――。
 雨宮先生が職場の人だからか、年が離れているせいか、それとも厳しそうに見えて優しいのがわかったからか、不思議とまったく緊張しなかった。
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