彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました

8.内見

「そうか。よかった、順調で」

 お昼休みのルーフガーデン。並んで座ったベンチで、雨宮先生は言った。

 今日は時間があるというので、私たちは一緒におにぎりを食べている。鮭おにぎりと、あげ玉と大葉を混ぜ込んでめんつゆで味を付けた通称「悪魔のおにぎり」。定番と個性派を組み合わせてみた。

 雨宮先生は「どっちも旨い」と、あっという間に食べてしまった。

 入居者の募集を始めて二週間。

 何件も問い合わせが寄せられ、今週土曜日には内見の予定が六人入っている。

「けっこう緊張してます。皆さん、気に入ってくれるといいんですけど」

 南向きの二部屋のうち一部屋は塚本さんに決定しているが、少なくとも、もう一部屋埋まらないと、固定資産税が賄えない。

「焦るなよ。しっかり見極めないと。普通の物件と違ってシェアハウスだから、きちんとした人たちに入ってもらわないと、あとからトラブルになる」
「はあ……」

 自分に人を見極めるなんてできるのかなと、思わず自信のない返事をしてしまう。
 雨宮先生はそんな私の気持ちを見逃さない。

「……仕方ないな。内見、俺も立ち会うよ」
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