彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
「おや!」
「あらあらまあまあ!」

 九時半。

 様子を見にやってきた母と塚本さんを出迎えると、二人は、玄関に並ぶ雨宮先生と私を見て、声を上げた。

「ちょっと、どうしたの、二人とも? 変な声出して」
「莉々ちゃんの彼氏さんよね? 素敵でびっくりしちゃって」

 塚本さんはうきうきとした口調だ。まずい、怜士と勘違いしている。

「違うのよ、塚本さん。その人とはお別れしちゃったの」

 私が言う前に、母が間髪入れずに否定する。

「この方は雨宮先生とおっしゃって、莉々の職場の弁護士さん。すみません、雨宮先生。そうとは知っていても、二人がお似合いに見えてしまって。嫌ね、親バカ」
「そうだよお母さん、先生に失礼だよ」

 まったく、突然何を言い出すのだ。

「全然失礼ではありませんが。むしろ光栄です」

 雨宮先生までおかしなことを言うので、場が一瞬しーんとなった。

 そして、みんなが笑う。

 なんだろうこの雰囲気。ちょっとぎこちないような、でも暖かい感じ。何より雨宮先生が、普段スーツ姿の時には見せない寛いだ感じの笑顔で、どうしてだろう、私の胸はぎゅっとなった。
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