彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
 しばらくして先生は、両手にマグカップを持ち、ダイニングに戻ってきた。コーヒーのいい香りがする。

「どうした、ぼうっとして。出した? 連絡」

 そう言われて、はっとした。
 私、何もせずに雨宮先生を見ていた……まさか、見とれていた?

「…まだです」
「何か迷うことでも?」

 マグカップを置いた先生が、私の後ろに立ってテーブルに手を付き、肩越しに画面をのぞき込む。
 ――また、どきどきする。

「いえ、何も……」
「じゃあ、出したら? 見てるから」
「――はい」

 そうして私は先生に見守られながら、メールを送信した。
 送信したのを見届けると、先生は私の後ろを離れ、テーブルの向かい側に座った。
 改めて見ると、雨宮先生は顔立ちもスタイルも、本当に整っている。しかも職業は弁護士で、冷たそうに見えるけど実は優しくて、なのにどうしてまだ独身なんだろう。先生なら、好きになってしまう女性はたくさんいるだろう。

「飲んだら?」
「はいっ?」

 急に言われて驚く。

「コーヒー。冷めるよ」
「あ……そうですね……」

 私はマグカップを両手で持ち、コーヒーをすすった。自分で淹れるよりも濃い目のそれは、疲れた体に染み渡る。

「とても美味しいです」
「それは良かった」

 先生の優しい微笑みに、これまでのことが蘇る。
< 41 / 62 >

この作品をシェア

pagetop