彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました

12.告白

 夕食会がお開きになったのは、九時過ぎだった。みんなよく食べて飲んで、片付けも一緒にして(雨宮先生まで手伝ってくれた)、とても楽しかった。

「じゃ、私たち、ここで失礼しますね。莉々ちゃんは雨宮先生のお見送り、よろしくね」
「えーアタシ、駅まで先生送りたい」
「いいから、井上さん」

 塚本さんがやや強引に井上さんを二階に引っ張って行き、そんな二人を雨宮先生は苦笑して見送った。

 静かになったキッチン。

 私は雨宮先生と二人きり。でも先生も、そろそろ帰ってしまう。

 今、言わなくちゃ。

 感謝の気持ちをきちんと伝えなくては。

 この先、先生と二人きりになることは、きっともうないだろう。
 おにぎりを渡すのは止めるし、いずれ私は職場を去る。
 だから今ここで、きちんと伝えなくては。これまでの感謝を言葉に込めて。

「雨宮先生」
「野崎さん」

 声が重なった。
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