彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
 思いがけない言葉に、胸がどくんとなる。

 本当に? 私のことを?

 夢を見ているんじゃないだろうか。信じられない。

「――俺じゃだめ?」

 ああ。
 なんてことを言うのだろう。
 だめって――そんなこと、あるはずがない。

 それより、私でいいの? 私、先生に不釣り合いだと思うけど、先生は本当に私のことを――そこまで考えて、私は思い直した。
 私にも、いいところはある。シェアハウスのことは頑張ったし、これから司書にもなるんだ。だから胸を張って、先生の気持ちに応えればいい。

 私は首を振った。

「だめじゃないです。私――」

 先生の不安げな眼差しが私を見つめる。

「私も雨宮先生のことが、好きです」

 先生はふうっと大きなため息をついた。

「よかった」

 そして私は、抱きしめられた。
 雨宮先生は力強くて、暖かくて、仄かにブラックティーの香水の香りがした。








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