彼がくれたのは、優しさと恋心――司書志望の地味系派遣女子、クールな弁護士にこっそり愛されてました
 翌日、お昼休みのルーフガーデン。

「明日でいよいよ派遣終了、か」
「はい。今までお世話になりました」

 私が言うと、柊さんは笑った。

「他人行儀だなあ。それに世話になったの、俺の方だ。花菱商事のファイリングや、前澤さんの不在フォローその他、色々ありがとう。次の職場、そして試験も頑張って」
「はい」

 次の派遣先は、大学の図書館だ。
 そこで働きながら、私は来年の公務員試験合格を本気で目指す。

「キスしていい?」
「はい――って、え?」
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